ゴンポリズム

ゴンポリズム

読むこと-観ること-考えること

2016-01-01から1年間の記事一覧

書評:フォークナー『八月の光』

ウィリアム・フォークナーと言えば、アメリカのみならず20世紀を代表する世界的作家と言われている。フォークナーを読んだことのない英文科の卒業生はいないだろうが、それでも、この作家を愛読する日本人はどれだけいるだろうか。 フォークナーとの出会いは…

書評:斎藤眞『アメリカとは何か』

今回、取り上げるのはアメリカ革命史研究の大家、斎藤眞(1921-2008年)の著書である。戦後日本のアメリカ史研究を牽引した彼の名前は、アメリカ史をかじった読者なら一度は聞いたことがあるだろう。この本は、前々から多くの先生が薦めていてマークしていたの…

書評:福井憲彦『近代ヨーロッパ史 世界を変えた19世紀』

今回、取り上げるのは福井憲彦著『近代ヨーロッパ史 世界を変えた19世紀』である。もともと放送大学用のテキストらしく、近代ヨーロッパの歴史が初学者にも分かりやすく書かれている。高校世界史で学ぶ知識を少し詳しくした程度で、教科書的な記述も目立つし…

書評:フォークナー「あの夕陽」

今回は「あの夕陽」という短編の感想を書きたい。フォークナーの短編のなかでも最も有名な作品の一つだが、長編と比べると感想を書いている日本の読者は少ないようだ(今後もそのような作品をなるべく取り上げようと思う)。前衛的な作品が多い長編と比べる…

書評:フォークナー「納屋は燃える」

10月19日、岩波文庫からウィリアム・フォークナー『八月の光』の新訳が出るとのことだ。これまで、この作品の邦訳は新潮文庫の加島祥造訳であった。訳もそれほど悪くはなかったし、何より一冊になっていたのは読みやすく嬉しかった(岩波の新訳は上・下二冊…

解釈:村上春樹「レキシントンの幽霊」

最近『レキシントンの幽霊』を再読している。前回の「沈黙」に続き、今回は表題作の感想を書こうと思う。 「レキシントンの幽霊」は、村上ワールドで最も重要なキーワードの一つ、「異界」(「あの世」、「向こう側の世界」)が物語のメインにあり、ある意味…

書評:村上春樹「沈黙」

『レキシントンの幽霊』に収録されている「沈黙」という作品を今回は取り上げたい。この作品はなんでも中学の集団読書用テキストに掲載されているようで、意外と知名度は高い。 正直言うと、この短編は村上春樹のいつもの作品と違い、謎解きや不思議な要素が…

書評:村上春樹『1973年のピンボール』

村上春樹は大学時代に初めて触れて以来、愛読する作家だ。大学の著名な先輩としてごんぽりが意識する、数少ない一人と言って良い。と言っても最近の作品はほとんど読まず、『アフターダーク』あたりまだが。。。 今回、読んだ『1973年のピンボール』は、羊三…

考察:アニメ『僕だけがいない街』

最近、無性にアニメやドラマを観たくなる。そこで、何か面白そうなものを探していたところ、『僕だけがいない街』(2016年)というアニメがなかなか面白かったので感想を書きたい。 このアニメは「リバイバル」というタイムループ能力を持つ主人公(悟)が、…

ラジオの今後

ラジオドラマというものがある。YouTubeにも多くアップされていて、様々な物語を気軽に聴ける。SFから名作文学、創作小説までジャンルは様々で、放送時間も10分程のものから120分を超える長編まで揃う。私は今、そのラジオドラマにハマっている。 この娯楽の…

ゴンポリズムと愛読書

当ブログ、ゴンポリズムはごんぽりが本の感想や解釈を中心に書いていくブログです。 ごんぽりは小さい頃から読書感想文というものが苦手で、いつかすらすら書けるようになりたい、と思っていました。高校時代に読書に目覚め、大学時代は引きこもって本を読む…