ゴンポリズム

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読むこと-観ること-考えること

記憶・青春・人生 ー「中国行きのスロウ・ボート」考察ー

今回レビューするのは『中国行きのスロウ・ボート』表題作だ。村上春樹の短編でもかなり有名な作品だと思うがその割にしっかりしたレビューが少ない、というよりごんぽりと似た考察・解釈があまりなく、一つの参考として紹介したい。 この記事では、二つの逸…

書評:多和田葉子『献灯使』

今年の全米図書賞(翻訳文学賞)を受賞した話題作『献灯使』を手に入れた。手に入れた、というのはYahoo!ニュースで受賞が報道された翌日、都内丸善・ジュンク堂系列の書店で本書がほぼ売り切れになり、すんでのところで丸善某店にて取り置きできたからだ。…

書評:村上春樹「象の消滅」

今回読む小説は、またしても村上春樹の作品だ。初期の有名な短編の一つだが、意外にもネット上の書評は少ないように思う。彼のこの時期の作品はメッセージ性の強い荒削りなものが多く、えてしてまとまりすぎた中期以降の短編と比べると、逆に感想は書きやす…

解釈:村上春樹「レキシントンの幽霊」

最近『レキシントンの幽霊』を再読している。前回の「沈黙」に続き、今回は表題作の感想を書こうと思う。 「レキシントンの幽霊」は、村上ワールドで最も重要なキーワードの一つ、「異界」(「あの世」、「向こう側の世界」)が物語のメインにあり、ある意味…

書評:村上春樹「沈黙」

『レキシントンの幽霊』に収録されている「沈黙」という作品を今回は取り上げたい。この作品はなんでも中学の集団読書用テキストに掲載されているようで、意外と知名度は高い。 正直言うと、この短編は村上春樹のいつもの作品と違い、謎解きや不思議な要素が…

書評:村上春樹『1973年のピンボール』

村上春樹は大学時代に初めて触れて以来、愛読する作家だ。大学の著名な先輩としてごんぽりが意識する、数少ない一人と言って良い。と言っても最近の作品はほとんど読まず、『アフターダーク』あたりまだが。。。 今回、読んだ『1973年のピンボール』は、羊三…